ヘイトスピーチとは何か

ヘイトスピーチとは何か


 2013年12月20日に発行され大きな反響を呼んでいる師岡康子さんの著書
 「ヘイトスピーチとは何か」・・・師岡さんは著書のなかで次のように述べています。
 
 「日独の歴史的事実からヘイト・スピーチにより社会に憎悪が蔓延してからでは
 多民族への暴力、ジェノサイドや戦争を阻止することが極めて困難になることが
 証明されていよう」


 ドイツ:第一次世界大戦に敗北し、国民は生活の窮乏化に喘ぎ不満が広がる中、ナチス
 は、敗戦の原因はユダヤ人と共産主義者の策謀だと宣伝し、反ユダヤ人キャンペーンに
 よって支持を伸ばし、1933年には政権を奪取。その直後に反ユダヤ人を制定して、
 ユダヤ人の職業、営業、財産などを制限し、市民権を奪取した。ナチス支配下で600
 万人のユダヤ人らが虐殺された。

 日本:1923年の関東大震災直後、米倉庫が消失するなどで食糧暴動が懸念される中
 権力が捏造したデマとヘイト・スピーチを引き金に、軍・警察の主導で関東地方に約
 4000もの自警団が組織された。何万人もの民間人が集団となって襲いかかり、
 6400人の朝鮮人・中国人が虐殺された。


 今ネット上や街頭で、憎しみと差別をあおるヘイト・スピーチが、あふれています。
 (京都朝鮮第1初級学校襲撃2009年、徳島県教組襲撃2010年、奈良水平社博物館
  差別街宣2011年、大阪鶴橋駅周辺差別街宣2011年、東京新大久保差別街宣12年)


 「ヘイト・スピーチのもたらすもう一つの害悪は、偏見を拡散しステレオタイプ化し、
 差別を当然のものとして社会に蔓延させ、差別構造を強化することである」



 師岡康子さんの講演を手がかりに、共に学び、助け合い共に生きる社会を目指しましょう!




  
主催: 日本軍「慰安婦」被害女性と共に歩む大阪・神戸・阪神連絡会


 
 ちらしの呼びかけより








 ヘイト・スピーチとは何か


 ・定義(広義)−歴史的、構造的に差別されてきた人種、民族、国籍、性的思考などに
  おけるマイノリティの集団若しくは個人に対する、その属性を理由とする差別的言動。


 ・「ヘイト」とはアメリカで言葉の誕生した経緯から、憎悪一般ではなく、マイノリテ
  ィに対する差別に基く強い否定的感情を指す。


 ・本質 マイノリティに対する言葉による暴力であり攻撃。差別構造の一角であり、かつ
     差別構造を強化する機能を有し、差別・暴力を誘引する。


 ・害悪 侵害する法益ー規制する目的


 ①マイノリティに属する人々の尊厳、人格権、平等権、平穏に生活する権利、表現の自由


 ②平等を前提に諸民族など多様な人々が友好、平和に共生する社会。
  社会を構成する人々が平等に社会に参加し築く民主主義社会



 ・「憎悪表現」よりもマイノリティに対する「差別扇動(表現)」という訳の方がよりよい。


 ・国際人権法上、ヘイト・スピーチは違法
   人権差別撤廃条約第2条と第4条、自由権規約20条2項



  2014・4・26



  師岡 康子 




  師岡さんのプロフィール

    弁護士、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員

    国際人権法学会所属、外国人人権法連絡会運営委員、外国人学校ネットワーク運営委員、

    外国人学校民族学校の問題を考える弁護士有志の会





  講演レジメの一部より