余命三ヶ月

余命三ヶ月



  本を開けてみて、その迫力に圧倒された。

  読んだ者として、私でなくて「よかった」ではない。

  読み物として、終わらせたくはない。




  それからなのか、体調がすぐれないと感じるようになった。

  体調の良くない、その理由が自分なりに納得できればいい。

  昨日遭ったことさえ忘れてしまう、から当てにならないが。



  安全、健康、長期的視点などの価値観へ、偏った行動から修正して、

  行こうかと思い始めた。

  ある人の意見に、気持ちが向いた。

  病気を考えすぎていないか、金に重きを置いていないか。





  心底、金に支配されてしまった。

  地獄の門が閉じられるかもしれない、それを予期してもおかしくない歳をとった。

  医療や介護に支配され、その上時間制限を与えられては、心が休まらない。





  今までの価値観と異なる、別の領域に入り込んでみようか。

  いつ死んでもおかしくない。

  歳を重ねた者から、順々に死んでいくとは限らなくなった。

  楽な仕事をしていた者が、長生きするとは思えない。






   
  今までの物差しを、別な物差しに替えてみようと思う。

  明日、明後日、逝ってもいいように。

  これで生きていけば、もう誰にも支配されなくて済む。

   心臓が止まるのを、待つばかりだ。