放浪

 放浪記   2011年  (株)新潮社


 著者 林 芙美子

 朗読 藤田 弓子




  1951年6月28日、林芙美子は48歳の生を閉じる。持病の

 心臓弁膜症が昂じての死だった。長編小説「浮雲」を脱

 稿し、「めし」をはじめ4本の小説を連載していた。告別

 式には2000人もの人々が列をなし、その大半は愛読者だった。



 幼い頃に義父と母に連れられて行商しながら見た日本のあ

 ちこちの風景、苦難に満ちた文学修行時代の思い出、切

 実な恋愛遍歴の数々・・。傷心を慰めるために自らの生

 い立ちを日記風に書きとめた「放浪記」が、作家・林芙

 美子を一躍時代の龍児に押し上げた。











 
 午前の一時間、駅まで歩き、目的の駅へ着くとそれから

 2時間ほど歩いた。若い女性らの家を訪ね、3時間ほど

 会話を楽しむ。その帰り道、4時間ほど夜道を歩いてみた。

 


 もう腐るぐらいマンションが作られた街なのに、まだ窮屈

 な家が生まれてくる。その家に住む、若者やその子供たち

 は、ほんとうに生まれてくるのだろうか。





 夜の街に、スポーツジムが稼働している。

 昼間に働いて、そしてまた夜活動すると、

 そんな馬鹿な、楽な労働などしているはずはない。

 マンションの少ない地域に、スポーツジムで運動し

 ようとする者などごくわずかしか、いないだろうに。

 開店したジムも、客が来ずにすぐつぶれるであろう。







 道路の交差した間には、横断歩道がない。

 またぐのは、エレベータを備えた陸橋。

 自転車が、そのエレベータに乗せて動く。

 無理がある、急ぐ自転車が乗るには・・・。








 飲み屋でにぎわっている店が、二軒隣り合っている。

 店前に、自転車が連なって駐輪している。

 歩く人を妨げている。飲んで帰れば、飲酒運転になり、

 足下が危ないのに・・・・。

 まさに治外法権か。






 旅をしているよう、知らない街を歩ける。

 まだまだ歩けます。

 見たことにない、記憶にない街だからこそ

 歩けることができるのです。




 夜中の一時まで、

 営業しているスーパー、 街は眠らない。

 無限に電力を使おうとする。