ふとん

蒲団  2001年  (株)新潮社

 著者  田山花袋


 朗読  橋爪 功




 「蒲団」は、花袋と思える中年の作家竹中を軸に、

 彼を慕って上京、モデルも明白な女弟子芳子への思

 い、その心理を扱ったもので、内に秘められた恋情

 をストレートに告白した小説。







 平家物語  巻第九   2001年  (株)新潮社


 朗読  嵐 圭史




 第九十句  小宰相身投ぐる事

  都へあと一日という所まで勢いをもり返しながら、平家

 の一の谷の城はこうしてあえなく落ち、残った人々は船で

 屋島へ向かった。

  道盛の戦死の報を聞いた北の方小宰相は悲しみの余り、

 船が明日は屋島に着くという夜、海原に身を投げた。















 私小説というのか、はじめて聞いた。

 気持ちよく感じなかった、書き方のなので最後まで、

 好ましく思えない。著者である書き手が、どの視点から

 書き綴っているか、登場人物なのかどうか、

 それを重きを置いてしまう。


 

 第三者的書き方、官僚的書き方といえばいいのか。

 主体が、誰であるのか、それが明らかではない。

 こういう文体が、好まれたその時代的背景とは、

 文章を書いた人物に、責任を負わせないためか。





 同じ部類として、『放浪記』を私小説というのか。

 書いている内容は、ほとんど変わらないと思う。

 放浪記の朗読を聞かせてもらうと、朗読される方の

 力が著者以上に聞く者に、伝わってくるかのよう。

 こころ細い、気の弱い時もあったに違いないが、

 朗読者にかかると一変するように受けた。





 感情を吐露する、それは喜びに繋がるもので

 なかったかもしれないが、そこに力を感じる。

 原作を手に取るだろうか。

 そんな時間は、もう自分にはないだろう。






 赤ひげ診療譚  第1集

 山本周五郎   朗読  嵐 圭史




 貧困と無知、

 これが病となり、民を苦しめるとか。

 患者しかなり得ない、私ではあるが、

 これはもう議論の余地がない、

 金銭を貯めても、もう利子というものが、

 この世界にないのでは、何ができるというのでしょうか。

 あきらめしか、日本に生まれてきません。