過去のない男
The man without a past
監督 アキ・カウリスマキ
出演 マルック・ベルトラ
カティ・オウティネン
今、ここにあるしあわせを・・・・。
流れ着いた先のヘルシンキ。
男は暴漢に襲われ身ぐるをはがされたあげく、
過去の記憶をいっさい失ってしまう。
運び込まれた病院では医師に見放されるが奇跡的に
一命をとりとめる。その後、男を助けたのは港湾に
住む貧しい家族。
<過去を失った男>は、周囲の人々の優しさに触れ、
やがて救世軍で働くイルマという女性に出会う。
過去とは、面識であり今までの関わりのこと。
気持ちの通う相手でなければ、信頼できない。
安心できないまま、不安が募る。
過去がなければ、未来を予測できないか。
いいや、そんなことはない。
今までの、数秒のことさえ思い浮かべば、
この後、数秒のことは知れるではないか。
過去をなくす、今どきは ”認知症 ”の
言葉に繋がっていく。
過去のきまりに、押しつぶされていいのだろうか、
自分の過去から縛られていませんか。
正直な自分を自分なりに〜
拡げていけば、それはそれでいいのではないか。
救世軍とは。
貧困というものが、目の前の姿からみえた。
戦争の後始末としての、救世軍ではないかもしれない。
身なりの良くない服。
このセリフの表現に、自分の身を正された。
なんら服を気にしなくても、外出できるのが高齢者。
服装に金を費やする、貧しさの抗いか。
ひとと人が親しくなる会話。
その会話を進める条件とは、余裕を持ったひろい心。
無駄とも思える、時間の浪費。
ひとに関心を持ち、自分から声を出す。
こちらから声をかけなければ、会話は始まらない、
自分でわかっておきながら、それができない。