過去のない男

過去のない男    2002年   フィンランド・ドイツ・フランス

  The man without a past  

  監督  アキ・カウリスマキ

  出演  マルック・ベルトラ

      カティ・オウティネン


今、ここにあるしあわせを・・・・。


  流れ着いた先のヘルシンキ

  男は暴漢に襲われ身ぐるをはがされたあげく、

  過去の記憶をいっさい失ってしまう。

  運び込まれた病院では医師に見放されるが奇跡的に

  一命をとりとめる。その後、男を助けたのは港湾に

  住む貧しい家族。

  <過去を失った男>は、周囲の人々の優しさに触れ、

  やがて救世軍で働くイルマという女性に出会う。








  過去とは、面識であり今までの関わりのこと。

  気持ちの通う相手でなければ、信頼できない。

  安心できないまま、不安が募る。



  過去がなければ、未来を予測できないか。

  いいや、そんなことはない。

  今までの、数秒のことさえ思い浮かべば、

  この後、数秒のことは知れるではないか。




  過去をなくす、今どきは ”認知症 ”の

  言葉に繋がっていく。

  過去のきまりに、押しつぶされていいのだろうか、

  自分の過去から縛られていませんか。

  正直な自分を自分なりに〜

  拡げていけば、それはそれでいいのではないか。



  
  救世軍とは。

  貧困というものが、目の前の姿からみえた。

  戦争の後始末としての、救世軍ではないかもしれない。



  身なりの良くない服。

  このセリフの表現に、自分の身を正された。

  なんら服を気にしなくても、外出できるのが高齢者。

  服装に金を費やする、貧しさの抗いか。



  ひとと人が親しくなる会話。

  その会話を進める条件とは、余裕を持ったひろい心。

  無駄とも思える、時間の浪費。




  ひとに関心を持ち、自分から声を出す。

  こちらから声をかけなければ、会話は始まらない、

  自分でわかっておきながら、それができない。