ある子供

  ある子供  2005年  ベルギー・フランス

 監督 ジャン=ピエール&リュック・ダルエンヌ

 出演 ジェレミー・レニエ

    デボラ・フランソワ  




 20歳のブリュノ。

 毎日仲間と盗みをして暮らしている。

 恋人はソニア、18歳。

 

 盗んだカメラを売りさばくように、自分の

 子どもを売ってしまう。









 この映画を最初に見たとき、「ばかな」話と思った。

 再び見てみると、以前より身近に迫ってきた。

 子どもを売る商品として、扱うことのできる社会に。

 商品として親が売るなんて、考えられない状況から、

 人身の売買を否定しない、強く非難しない〜

 数年の間そんな社会へ、変化したのだと思う。






 アフリカ社会が活発だった、奴隷制社会。

 その時代へ戻ったのかもしれない。

 テロに無人爆撃機

 人身売買に、臓器の売買。

 古い時代には、死を恐れる文化があった。

 宗教に力があった時代、人を尊敬していたコミュニティ。







 登場する映像の貧困は、遠い世界だと思っていた。

 世代を超えて、住んでいる地域を離れて、人の動きとお金のちからは、

 経済を根底から破壊し始めている。

 高齢者と若者、年金と就労、女・子供と大人、

 それぞれを分断した。







 ものごとの考え方や、個人の嗜好のちがい。

 話し合う機会がなければ、互いの違いなどわからない。

 住む世界が異なると、ともに働く職場が限定される。

 悪の世界から抜け出すに、相当危険を冒す必要がいる。

 





 誰とでも情報を交わすことができるのに、

 コミュニケーションをとれるようになったのに、

 金持ちと貧乏人の壁ができる。

 学問が貧乏人に、行き渡らなくなる。

 教育の必要性が、社会で認められなくなった。

 教育費が払えなくては、子どもに教育を受けさせることができない。

 要は、国が貧しくなったというわけ。








 現実をみれば、若者の労働が必ずしも求められているのではない。

 学問が、国民相互に行き届いているわけではないから、

 教育レベルが全般的に高いわけではない。

 若者たち全て、コミュニケーション力が高く、

 社会性が豊かだとは限っていない。








 
 完全な貧困になるまで、豊かだった社会の「続き」だから、

 大切な子供たちと家にいて、こもることができたのでは・・・・・。