女人哀愁

女人哀愁   1937年   日本

  A Woman's Sorrows

  監督 成瀬巳喜男

  出演 入江たか子
     堤真佐子
     佐伯秀男
     北沢彪
     



  親の言うがまま、金持ちに嫁いだ女性。

  自意識に目覚めるさまが、描かれる。







 
  嫁になると、次から次へ用事を言い付かる。

  その展開の早さに、わずらわしくなる。

  昔の映画、このように追いまくられたことはない。

  映像を見続けられない、不愉快になった。





  主人公おしんの心境だろうか、三世代ではなく二世代の家族

  構成で、ぎくしゃくした関係が描かれている。

  少年、女学生が登場しながら、家族の一員としての

  自我の目覚めは、まだ芽を出していない。








  少し前、結婚は家庭を築くうえで、通らなければならないのが、

  自意識、自我に相当するモノ。

  その自我を、現代人は備えているのかどうか。

  試してみる材料として、この映画を観賞するのもいいと思う。

  主人公にエールを送ることができるか、

  家を飛び出すことを勧めるか、映画を観る方の自意識を確かめる

  ことができる、それがこの映像。





  人として、道の遠回りをしてきたみたいです。





  ビルの屋上で台詞を聞くシーン。

  実況録音。

  都会の騒音、忙しさを感じさせるもの、現代と変わらない。

  1937年の都会と違うのは、”臭い ”ではないだろうか。

  地下であろう、高層であろうと、臭いの含まれたよどんだ空気は、

  動かないで溢れたまま。

  





  食事、飲み物、交流をテーマにした、営利企業

  肉汁の臭い、香水の匂い、アルコールの匂いを漂わせながら、

  都会は生き永らえていく。

  安全な水、安全な食べ物はまだあるのか。