空色の故郷

空色の故郷  2000年  韓国
 Sky-blue Hometown
Ha-neol-sack Go-hyang

 監督・脚本・製作  金素英 ( キム・ソヨン )
 撮影   ニコライ・ゲラシモフ



 1937年。
 スターリン時代のソ連で対日スパイの懸念ありとの理由から沿海州から中央アジア
 強制移住させられた約20万人の朝鮮人( 高麗人 )。
 その中に、9歳の少年シン・スンナム( ロシア名 ニコライ・シン )がいた。
 やがてウズベキスタンの美術学校を卒業し、画家となった彼はこの強制移住の悲劇と
 高麗人のその後の過酷な運命をキャンバスにぶつけずにはいられなかった。






 ネットより








 ドキュメンタリー。
 日本語の字幕があり、93分の映像は重い。


 
 歴史的な映像も含まれて、作品の発表された時期が、
 いつになるのか、頭が混乱する。
 日本だけに限らず、歴史的な証言が途絶える時を韓国社会も迎える。
 証言者が亡くなるとか、歴史書物が読まれなくなる。
 文化が断絶する瞬間が、やってくる可能性を感じた。


 この作品も、歴史として引き継がれるべきものと、
 残すため託された、最後の機会かもしれない。
 字幕を読み切ることはできず、歴史の知識がないまま、
 映画を理解するには、限界があるような気がする。



 理解できなかったことを知る機会に、監督 金素英さんのトーク
 あると期待していたが、その時間はめぐってこなかった。


 
 投げかけていることを大きく分けて、歴史的事実と絵画にあると思う。
 その絵画について、スケールが大きいとは思うのだが、
 眼の前に浮かんでこない。
 なぜなのか、その絵をじかに見た経験がない。
 観客が、韓国についての知識を持っていない。
 そこに誤解が生じているように思う。



 移住、故郷、地域、土地。
 コミュニティと同じ次元かもしれないが、交通機関など移動する
 能力を蓄えながら、 こころから移れない環境。
 私は、原発の避難者を連想します。

 

 消費税を増税する日本、経済が豊かになっているようで、
 その実は全く逆で、働く職場がないから移住できない。
 国や自治体という存在を、否定されている時代ではありませんか。


 
 資本主義社会のなか、労働が自由に行き来するモノだと
 解釈されていた、その根底が、いま揺さぶられています。
 移動は、不可能な世界に嵌りつつある・・・。