列車に乗った男

列車に乗った男    2002年   フランス・ドイツ・イギリス・スイス
 L'HOMME DU TRAIN
THE MAN ON THE TRAIN



 監督 パトリス・ルコント
 出演 ジャン・ロシュフォール
    ジョニー・アリディ


 シーズン・オフのリゾート。
 くたびれた革ジャン姿のミランが、列車から降り立つ。




 その列車は、あなたを、
 叶わなかった人生の終着駅へと、旅立たせてくれる。
 教授と流れ者。




 https://www.youtube.com/watch?v=2m_vc6AGKb8






字幕から読み取るセリフなんですが、ストレートに
 入って、大声で笑ってしまいます。
 で思うのです、これを映画館で観れるか。

 

 感情を抑えて、映像を眺めてしまう予感がする。
 男優の顔が、彼の感情を添えて私たちに迫ってきていると。
 映画館で、その感覚を味わえるかというと、無理な気がする。



 男優の笑みと真顔の顔が、交差します。
 観客に大笑いを引き起こす、その脚本に惹かれます。
 主なテーマは、他人の経験を感じることができるか。
 人の痛みを、想像できる人間になりうるか、ということ。



 その問いに、簡単に答えることができるのが「老い」、
 そして、長いこと経験した自分の人生を振り返った時。
 この経験を人に披露する、その人の性が「男」だったりすると、
 「宗教じみた場所」を連想するのです。
 なんとも狭い場所。



 経験を語り合うとすれば、男女との間では交換し合えない、
 限界があるもの。
 さらに、「愛」などと「誤解」を生じるものを頭に描いて
 しまう、小動物。



 これって、宗教、あるいは教育のなす極意ではないですか。
 大きく物事を考えたり、学のない人に伝えることでもない。
 ジョークだったり、本音を語る会話だったり。
 男でなく、女でなくても、話し合える笑える間柄。
 


 そういう笑顔を交わせる関係が、
 ひとにとって、最もふさわしい間柄と言える。
 一人っきりになって、閉じこもるのは、やはりおかしい。