兄とその妹

兄とその妹   1939年   日本

監督 島津保次郎
出演 佐分利信
   三宅邦子
   桑野通子
   河村黎吉

 

現代的な感覚でつくられ、新鮮な映画でした。
こころが、ウキウキしてきます。
兄と妹の会話が、立て板に水のような速いテンポでつなぐ。
男と女の会話を、このように望まれていたのではないか。



会社勤めが描かれ、働く者同士の秘めたる争いをテーマに
妹の縁談をきっかけに展開し、愉快面白かった。
いまなら、さしずめ秘密保護法で別件逮捕



策謀の働く職場を描くに、躊躇するもの。
企業として何を生業としているのか、よくわからない。
商業、貿易を主としているのだろうか。



兄から縁談を勧められて、もう少し考えさせてと妹が答える。
すると1、2時間経つと、「お断りさせていただきます」。
ちょっと待って、「もう少し考える」じゃなかった?



妹のそのお断りの返事が、素晴らしいセリフ。
まさに自立しようとする、職業婦人の鑑になるような御説。
その社会の芽を開かそうとする妹が、
兄が外国へ飛び出そうとすると、兄夫婦と同行する。
それは、ないでしょう、「もう少し考えて」
行動してほしい。



桑野通子さん、時代の移り変わりのなかで光っています。
どの作品でも、衣装スタイルは自己主張そのもの。
監督の支配下にいないかのようです。