按摩と女
按摩と女 1938年 日本
監督 清水宏
出演 徳大寺伸
高峰三枝子
日守新一
爆弾小僧
佐分利信
http://www.youtube.com/watch?v=oD5nIiHAc_A
66分。
按摩の徳市と福市が、山の温泉場へ向かって歩いていた。
2人は盲目にして、勘の鋭い持ち主。
温泉場で徳市は、東京から来た女に呼ばれる。
スクリーンに映るであろう、映像がくっきり見える。
カメラの捉え方は、現代となんら変わらない。
長年培ってきた技術を駆使して、違和感を覚えない。
色のない世界だからこそ、映像に新鮮さを感じるのか。
温泉のたたずまいを、縦横無尽に伝える。
当時のようすが、素人でも納得できる美しさ。
導入がすばらしい。
どこかで見たような、主役の顔。
そう、徳大寺伸さん、このお名前は覚えていた。
盲目のたたずまいを見聞きしたことはない。
その演技のすべてに、こうではないか、そうではないか、
と想像させるものがあった。
この時代の映画の特徴に気がついたのが、60分の長さ。
フィルムの原価、経済性から計算されたものだと思う。
当時、この1時間で観客の欲求が満たされたと思えない。
現代では、観る側の集中力のなさを感じる。
パソコンで見るのでさえ、見る意欲が失せて、
ついスィッチを切って、一休みを入れてしまう。
読書をすることに意欲が乏しく、
テレビのように受け身で映像に目を凝らすだけで、
「ちから」を必要とする。