A2-B-C
A2-B-C 2013年
監督 イアン・アッシュ Ian Thomas Ash
1975年生まれ。アメリカ出身。
「the ballad of vicki and jake 」 (06年)
「グレーゾーンの中」 (12年)
日本に暮し10年になるドキュメンタリー作家。
東京在住。
京都と神戸の上映後、監督をお迎えし、
トークの時間をたっぷりとりました。
除染作業が始まる前から再開した幼稚園では、子どもたちが
放射線量の高いスポットを受けながら園庭で遊び、給食の食
材は全て放射線量を計測、調理に使う水はすべてペットボト
ルと徹底している。
そうしなければならない理不尽さが、穏やかに話す園長や明
るくはしゃぐ園児たちの姿を通して、あらためて胸に迫る。
71分。短いと思えない、長く感じたドキュメンタリー。
そのわけは、登場する母親や女性たちの生の声。
悲痛と思えるような、彼女たちの訴え。
その問いに答える言葉を誰も持たない、観客は黙りつくすしかない。
沈黙が、全てを語る。
彼女たちの声は、想像もできない未知の話でもない。
スクリーンに登場した彼女たちは、観客である日本人に向かって
話しているのだろうか。
イアン監督に軽い嫉妬を感じつつ、上映後のコメントに注目した。
日本人が好きなのか、東北の人たちを愛しているか。
今までのウオッチャーとは、異なる何かをイアンから感じたのか。
イアンは、自分だけの判断でこれからの行動を決められない。
登場した人たちの意見を充分照らしながら、やり方を考えたいと。
福島と一体になって、行動していきたいと、言葉に出して言われなかったが
そのような陰の声を聞きました。
取材者が外国人というのは、キーポイントに感じます。
テレビや新聞でもない、ITメディアでもありません。
日本人の取材者であれば、どういう反応をされるのでしょうか。
日本人のどこに、信用・信頼に足るものがなかったのか。
東北・フクシマに日本のメディア、多くが取材をしているはず。
日本人が、日本人を最も信頼できる対象とし、日本国で住んでいるのに・・。
しがらみも、男女の違いからくる偏見もない、素の人とひとの関係。
新聞でもない、テレビでもない、日常からくる会話による信頼。
彼女たちの身の回りには、先生も警官も、政治屋もいない。
彼女たちの親や親戚の、姿は映らない。
家族や地域の姿は、表には登場しにくい。
真の声を聞いてくれるのは、先入観を持たない遠い国の人たちか。