コトバのない冬

コトバのない冬   2008年  日本

原作(原案)・監督   渡部篤郎
出演          高岡早紀
            渡部篤郎


北海道の小さな町で、暮らしている黒川冬沙子。
ある日、バス停に残された冬沙子は、偶然通りかかった
門倉渉に声をかける。
しかし彼は「コトバ」を発することができなかった。




http://www.youtube.com/watch?v=7sZvQcMEIc8





演技をする側からしてみれば、いろいろな体験をしてみたいはず。
フィルムに音楽の含まれていない、映像。
台詞の声が観客に伝わらない、画像。
台詞が何を言っているのか、わからない雑音のようなもの。


「コトバ」を発しない人物に焦点を当てた、作品。
現実は、声を発しない人に「人(他人)は」注目しないはず。
発しない彼に、カメラを向けることさえはばかる。
誰しもが、彼に集中した視線を向けないもの。



反対に役者は、視線が集まるのを喜ばしい、と感じる。
何も知らない第三者は、声の出さない人に関心を、持つだろうか。
見ず知らずの人の、声を出して反応する人が、
必ずいるとは思えない、いまの時代。



映画館で閉じ込められ、画面に映された映像から、態度を表すだろう〜
自分の反応を想像してみる。
映画の映像をみる観客として、お互いの体験を確かめるまでいかない。
一方向の、映像を観るだけで終わる。



演技者の、顔の表情だけで、表そうと試みる。
その演技者の経験は、貴重だと思いますが、「コトバ」を発しない人を
真剣に行動を見つめるなんてことは、普通ではあり得ないこと。



人と人との関係は、今まで以上に結びつく機会を閉ざしているように思う。
ケイタイに夢中の、現代人にとっては考えられない、空想の絵物語か。