東京物語

東京物語   1953年   日本

監督 小津安二郎
出演 笠智衆
   東山千栄子
   原節子
   杉村春子
   山村聰
   三宅邦子
   香川京子


尾道に住む老夫婦、周吉ととみが上京する。
子供達は2人を歓迎するが、忙しくて構ってやれない。
戦死した次男の嫁、紀子が二人の世話をする。



http://www.youtube.com/watch?v=LjDWc-lQYnM





2時間があっという間に見終わってしまう、何故なんだろう。
日頃この手の映画を観る、幸せを感じていないからか。



これほど、回数を重ねてみる映画はない。
見るたびに新しい発見をする。
少年・青年・壮年・老年時代と。



「いそがしい子ども達」、それに合わせたように、
老夫婦はゆったりとした口調で会話をする。
”いそがしい”、その中に含まれた「考えのない」暮らし。



映像に秘められた、細かな配慮に愛着を感じる。
壁につるされた、買い物かご。
和ダンスに掛けられた、テーブルクロス。



子供をあやしているでもない、小さな蚊帳のなかの赤ちゃん。
この手の入れようは、想像するだけでも大変。



時代は変わって、エスカレーターでもその隣を駆け抜けて
歩き回る、この日本のご時世。
まるで時間の奴隷。



歩いている傍を走る、自転車の行列。
諍いは、全て路上の上にある。
誰がこんな社会にした、その映像が今収録されていない。




何でもかんでも早く済ませようとする、人の心。
これを逆手に取ったような、細心の配慮。
子どもを主役のように登場する、映画作り。
こういった手作りの映画を、見失ってしまったのではないか。