晩春

晩春    1949年   日本
Late Spring

監督 小津安二郎
出演 笠智衆
   原節子
   月丘夢路
   杉村春子


やもめの父を気遣って結婚をためらう娘、それを見守る善意の人々。




http://www.youtube.com/watch?v=CCZ9eTRCqZo




出戻りでもない、婚期を失した娘。
この題材は、何度もとりあげられるが、この作品が
妙に自分の心象とぴたり合う。



結婚に気が向かない、伴侶になる人物のあらましがわからない。
そういった中で、父に結婚の話が持ち上がり、急転直下。



前回の作品で、娘は28歳。今回の父は、56歳。
その年齢を聞いて、その歳を飛び越えてしまった。
わが身の待ちわびた春を、思い出す。
もうそろそろ、お別れするべき時かもしれず。



娘が、父の言うことが気にいらなく一瞥、顔を向けて父を<睨む>。
女性としての妖艶な顔と、怨念のこもった蔑視。



娘の心情が小憎らしいぐらい、純な感情を父親にかたむける。
純粋というより無垢な感情、その気性がどこから生まれてくるのか。



家庭の現実的な問題、働いている職場や、家庭の仕事。
家計のやりくりや買い物、料理と食事。
そのような風景が見られなくて、文学的な雰囲気を感じる。



父親と娘が働いているのなら、彼らの職場を見せてほしい。
現実の厳しさが、どっと前に出てこない、優雅な仕事か。




父親が娘に嘘をついたことを、娘の友に語る。
その場面を見て涙する、男とはこんなもの。