浮草物語

浮草物語   1934年  日本

監督 小津安二郎
出演 坂本武
   飯田蝶子
   三井秀雄
   八雲理恵子


ドサ回りの一座・喜八は、昔の女がいる田舎町に興業に行く。
女には、喜八の子どもがいて、立派に成長し、
喜八をおじさんだと思い込まされている。





1959年リメイクされた「浮草」を見たことがある。
こちらの「浮草物語」の方に共感を覚える。



いまとなって観ると、どちらの俳優も有名な演技者。
映画の存在を醸し出しているのが、1934年版だと思う。



親子の情を感じさせるものとして、川に入っての投げ釣り。
気持ちを通わせなければ、絵にならない。
興味関心が伴わなければ、いっしょに川に入らない。



男と女の関係が、曖昧模糊として浮遊している。
大人の絵本といった風に描かれている。
人は感情の動物だけど、そういった割り切ったものとして
扱われていないと感じる。



色恋沙汰の多い経験豊富な人々、そういう社会風土だったかも。
その旅一座を、観客が自分たちと違う人たちと見ているか。
同じ様な男女関係のもつれを、自分とつなげて考えるか。



見ている我々も、同じような男女関係を求めてきたのか。
芸能がすべての人たちに、公平に行き渡り、
自分たちにとって共通の表現の場となったのか。