父ありき

父ありき   1942年  日本

監督  小津安二郎
出演  笠智衆
    佐野周二
    水戸光子



中学教師の堀川周平は妻に先立たれ、息子、良平と二人暮らし。
修学旅行の付き添いで生徒が事故死し、周平は辞職をする。
息子を進学させるため単身上京して、働く周平。



男やもめ。
中学校教師の後の、見つけた職業が具体的にわからない。



装置産業で働いているかのよう、少年に物事を教えることと
機械を間違いなく動かすこと。
どちらが難しいと、解釈しているのだろうか。



仕事の答えはなかなか出てこない、生産機械か。
言葉の上では、承服した顔をする生徒か。



己の仕事を全うすることが、幸せなことだと、息子に労働を語る。
血を受け継いだのか、ひとり息子は同じ中学教師になる。



単身で赴任していた父と、25年間離れ離れの生活を二人は強いられる。
その後、息子は共に暮らすため今の職場を退きたいと父に相談をするが。



「できるだけのことを、やり遂げてきた」
「できるだけのことが、やれること」
それが人生でいちばん素晴らしいことだと、息子に伝える。


自分が働いて、誇りを持っていること。
それを長く続けることが、喜ばしい。


こんな労働観を、観客に伝えていた時代だった。