スピーキングツアー
アムスティ・インターナショナル スピーキングツアー
ルクシャンダ・ナズ さん
Rukhshanda Naz
女性差別が最もひどい地域として知られる、パキスタンのハイバル・パフトゥンハー州の
中流家庭で、12人の兄弟とともに育つ。
女性が滅多にいない法律分野における専門家を目指して、ペシャワール大学の法学院を卒業。
その後、弁護士実務の経験を積む中で、司法の現場で女性がいかに従属的に扱われ、力を持
たないか、また法律が女性に対して差別的かを痛感した。この経験から、弁護士の仕事の傍ら、
女性の権利についての調査活動も始めた。
女性が置かれている現状
女性の結婚
・早期婚:パキスタンの法律上の結婚年齢は男性が18歳、女性が16歳である。しかし、
法律で認められた年齢に達しない結婚は広く行われている。2012年に起きたケースで
は、5歳の女児が6歳の男児と結婚させられている。
・2012年の時点で、約16%の女児が早期婚の状態にある。
ジナー罪、名誉殺人
・2006年のジナー法改正以降も、強かん、婚姻外の性行為は”ジナー(姦通)罪 ”と
して罰せられている。
・「汚名を着せた」という理由で、女性が親族に殺害されてしまう「名誉殺人」事件が今で
も起きている。ほとんどの場合、家庭内暴力や強制婚、早期婚を逃れるため家から逃げ
た、ジナー罪を犯した等の理由による。
2012年、名誉殺人により死亡した女性は900人以上、うち10%は未成年であった。
・名誉殺人は刑法によって犯罪行為とされている。しかし、名誉殺人防止のために調査や
加害者への処罰はほとんど行われていない。
女性を保護する施設の欠如
・強制婚、早期婚、家庭内暴力、ジナー罪から逃れるため、家から逃げた女性を保護するための
シェルターが圧倒的に不足している。
数少ないシェルターも、タリバンや武装グループの脅迫・攻撃の対象となっている。
・警察は、このように逃れてきた女性を保護するばかりか、刑務所に収容している。2012年
時点で収容されている女性は約1100人。ほとんどが、強かんされたがため”ジナー罪”の
対象となった女性である。
女性の教育
・成人識字率:男性70.7%、女性48.6%
・就学適齢期に達し学校教育を受けることができていない子どもは約510万人、内63%が女児。
・女子の就学者数は学年が進むにつれ、減少。
・タリバンの影響力の強い地域では、女学生や教師が標的にされ、学校は攻撃や爆撃の脅迫を受け
ている。
・貧困、学校までの距離や交通手段のなさ、女子学生のニーズを満たす学校施設の不足、不安定な
治安状況、学校教育の質の低さ、女性教員の不足、文化的・伝統的慣習が、女性の教育を妨げる
要因となっている。
女性の就労
・女性の就労が極端に制限されている。女性の教育への遅れ、女性が働くことへの理解の低さ、
そして働くだけで女性がタリバンや武装グループの攻撃・脅迫対象になってしまうなど、さまざ
まな要因が女性の社会進出を妨げている。さらに「バルダ」というイスラムの慣習が、女性の
行動範囲を制限し、就労や教育の機会を妨げている。
・男性の雇用率は49.1%と昨年より上昇。女性の雇用率は14.3%と、昨年比を割っている。
以上頂いた資料
自信に満ちた、力強い発言のナズさん