善魔

善魔  1951年  日本

監督・脚本  木下恵介
出演  三國連太郎
    森雅之
    淡島千景
    笠智衆
    桂木洋子

新聞社の編集部長・中沼は、かつて思いを寄せていた伊都子
の失踪を追うよう部下の三國に命じた。
三國は記事にしないことを約束に、親友の家に隠れていた伊
都子に取材に成功し、同時に彼女の妹三香子と恋に落ちる。

岸田國士の同名小説を原作とし、人は善を貫くために時に魔
の心を必要とする、その是非を問いかける。



http://www.youtube.com/watch?v=xo7qP5_KrGE



従順な妻とは何か、女はどうあるべきか。
戦後社会の中で、率直に観客へ問いかけた斬新な内容。
台詞のあちこちに、俳優たちが自然と笑みを交わすような
リアリティ溢れる会話が、何度も続く。


問われる題材が、夫婦の男と女。
湿っぽいものが、理由のわからない原因で離婚になるかの
展開をする。
生々しい表現の会話が、新鮮さを感じさせる。


俳優の後姿を映すことで、怒りを抑えている女性の心の内を
間接的に表現する。
会社で怒りを大きく表わし、身内の中ではひっそりと交わさ
れる、男女の会話。


笑みみせながら、聞かせる台詞。
援助してくれる彼、だって63才だもの。
あたし帰らない!
この人は、平気なんだ!


なんてストレートな、脚本。
彼女は別れ際、部屋の後片付けをする。
タバコの吸殻を蓄えた灰皿を、ガラス窓を開け
外を見ずに、その灰を投げ捨てる。


自由になれる。
法律的に離婚をすることで、はじめて自由になれるらしい。
日本人がこれほど、真面目に考えて生きていた時代。