楽園からの旅人

楽園からの旅人   2011年  イタリア  

監督 エルマンノ・オルミ

出演 マイケル・ロンズテール
   ルドガー・ハウアー
   アレッサンドロ・アベル

イタリアのある街で、教会堂が取り壊されそうとしている。長い年月、老司祭は
神の愛を唱えてきたが、人々の望みは別のものに変わろうとしていた。
夜、ひとりの男が傷ついた家族をつれて司祭館にやってくる。男は技師で、家族
不法滞在者だった。そして教会堂には、さまよう人が次々とやってきた。多く
がアフリカから長い旅を経てきた人だった。



元町映画館では、「楽園からの旅人」上映後

テーマの一つ、「イタリアの地中海、移民問題」。

現代ヨーロッパの地中海世界は、どうなのか。


イタリアの移民・難民研問題を研究されている、

三重大学人文地理学准教授、北川眞也さんのトーク

がありました。



2013年10月
密航船  転覆事故  死者34人


大量の移民を乗せた船が、またイタリア沖で転覆し、多数の死者が出た。
3日にはランペドゥーサ島沖で過去最大級の事故が起き、339人の死者が
出た。

イタリア、マルタに到着した移民は今年だけで3万2000人と、12年から倍増。
事故があったランペドゥーサ島では、定員250人の施設に8〜900人の不法移民
が押し寄せてきました。


政府は移民の管理を、船でくる前から取り締まってきました。
警官だけでなく、市民による不法移民の通報を義務化させようとしています。


トークショーに参加してきました。



映画の台詞に、深いものを感じさせ、あらたな思いが募ってきました。
奴隷貿易、その時代からアフリカの民衆は移動することで、辛くも生き
ながらえることができた。
北の国から南の国へ、資源を略奪することで、先進国は豊かになったの
ですが、奪われた側の後進国は、末端まで経済が行き渡らず、国が疲弊
している。

自立できる生活が適わない、家族を増やし国を繁栄させるだけの人口を
増大させることができない。
先進国のなかで格差が生じているのであるから、後進国で酷い政策を続
けているのだからなおさらであろう。
アフリカ諸国は、まだ発展できずに圧政で苦しめられている。

自国の未来を考えるのであれば、国外へ国民が大移動するのは望ましい
事ではなく、経済的に不幸な出来事。
そのアフリカ諸国に政策的なコンサルトを通じて、世界が支援すればい
いのを、あらゆる国が対処できない。


なにも民族移動は、他国だけのことではなくなった。


旅でもない、人口が移動することは、国の消失に過ぎない。