ピケを超えなかった男たち

ピケを越えなかった男たち  1997年  イギリス
リバプール港湾労働者の闘い
The Flickering Flame

監督  ケン・ローチ


サッチャー政権下に推し進められた雇用の流動化と、組合潰しに抵抗した港湾労働者たちの
闘いを描いたドキュメンタリー。

産業革命とともに発達した港町、イギリスのリバプールで1995年、港湾労働者500名の
解雇撤回を求める争議が2年近く行われた。
イギリスでは、1989年に港湾労働法が廃止され、今までの常用港湾労働者はすべて解雇され、
日雇い労働者に置き換えられた。
唯一の例外は組合が強いリバプールだったが、そのリバプールで日雇い化の攻撃がかけられた。



サッチャー新自由主義に基づき、国有企業の民営化や規制緩和を断行。
付加価値税(消費税)は、1979年に従来の8%から15%に引き上げられた。
サッチャーの首相就任から間もなく、1980年に選出されたアメリカ大統領の
ロナルド・レーガン新自由主義的な政策を打ち出した。

また、日本では、1982年首相に就任した中曽根康弘により、
行政改革国鉄分割民営化(1980年)が行われた。


組合といえば、炭鉱の御用組合国鉄など。

巨額の累積債務、国からの税金投入など処理することは、国鉄民営化の大きな目的であった。

ただし、中曽根首相はその後、国鉄分割民営化の真の目的は、労働組合の解体であったと
述べている。


・1人が万人のため 万人は1人のために

・ONE FOR ALL ALL FOR ONE

・「大一大万大吉


・天は人の上に人を造らず 人の下に人を造らず

人を差別しない、それを大切にすることで自ら幸せを招くと思っていたものが、
いつの間に逆転して、組織を隠れ蓑にし新たな奴隷制度を作ってしまった。


人として、平等に生きていけない、悪い待遇を与えられても不平を言わない、
意思を持たないロボットに作り上げた。
国として存在しえないわずかの国民であるにもかかわらず、働く者を差別する。


人は長く生きようとしても、せいぜい100年を通り越し、
物欲の世界にまい進する人を育てようとする。
どんな人もいつかは、死を分かつという、結論を心の支えにしてきた。
「死」という平等。
宗教の教えを飛び越えた世界に、人々は目を向けている。
永遠の命が与えられていると、過信する価値に充満してしまった。


頂上に立つ人は、わずかな人のみが味わえる勝利です。
”組合”という組織に、入り込める道理はないかもしれません。

成功談、勝利談。
欠けているのは、俯瞰的に自分をみつめる視点。
いま語ろうとしているのは、団体や組織におけるひとり1人の役割のこと。

これは組合だけでなく、一企業・自治体・企業連合でも同じこと。
同じ意味で捉えられるべきなのに、時代はどうも違うらしい。
なぜ組合という組織が、こころから庶民に受け入れられないようになったのか。


宗教の力で、己の欲を抑えようとしてできず、物欲におぼれる世界。
地球の命は、もうないことを知らすために、神は”死”を忘れさせようとするのか。
そのため、われわれの目の前に物欲という餌をしかけるのではないか。