土
土 1939年 日本
勘次は舅の卯平から払いきれない借金を背負ってしまい、小作人として働いている。
しかも、妻を失って以来、幼い与吉をかかえて生活が苦しくなる。
そんな勘次を甲斐性無しと思う卯平との仲も悪い。
働き者の娘・おつぎだけが、卯平をかばってやってくる。
声はよく通っているのだが、何を言っているのかセリフがわからない。
外国のように聞こえる、まさに字幕が欲しい。
一生の間で、日本語で話している言葉が、聞き取れない。
音声の技術だけでなく、話し言葉が変遷していると思う。
たった60年余りの期間で。
歴史の中で、伝えるとは過酷な仕事にちがいない。
フィルムの巻頭と巻末が消失している映画。
貧困をありのままに映している、としても理解しにくい。
基礎にあるのは、家族内での貧乏をどう分け合うかということ。
舅から借金をする。
この言葉さえ、親族と住居を近くに構えるから派生すること。
親族と同居することが一般的になると、借金という意識がなくなるのではないか。
幼い与吉が、貧乏たらしくなく、自然の恵みもので腹を満たす。
そのたくましさが描かれていて、ひ弱さを感じない。
貧乏に男が、人前で泣く。
カメラの前で泣く、次に描かれるのは時代劇だろうか。
厳しい時代の幕開け。
その表現に、大胆さを感じる私。
http://www.youtube.com/watch?v=h98tL2ZdLEo
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