第一容疑者
第一容疑者 ドラマシリーズ 1991〜2006年 イギリス グラナダTV
Prime Suspect
病室でハービイが殺害の供述を始めたころ、取調室では、ボブがトニーと向かい合っていた。
しかし、トニーは質問にまともに答えず、異様なことを口走り、息ができないと訴える。
ボブもついにあきらめて監房に戻すが、その直後、トニーはシャツを破って首つり自殺をする。
自供を求める際には、必ず録音をする。
今で言う「可視化」であろう、しかし映像でなくても録音だけで充分なことがわかる。
テニスン警部は、命令を指揮する幹部でありながら、現場に直行する仕事を持つ。
掛け声だけでなく、現場をすべて知りそれを映像化しているものと想像する。
映画館での映画でもなく、テレビのジャンルでもない枠。
いわばロール・プレイング的役割を持っているのではないか。
部外者に知られても恥ずかしくない、さらに自省の材料としてこの映像を生かしているのだろう。
今回のテーマは、黒人が主なテーマであった。
庭に遺体が埋められている、白人か黒人か。
主人公であるテニスンは、警察では少ない女性警視でマイノリティな存在。
その中でさらに深く突っ込んで、黒人の生活を描いている。
製作する側、映画を鑑賞する側、時間に縛られて、表現する範囲が制限されてしまえば、
映画を観る価値が半減してしまう。
観る側も覚悟して、裁判員に加わるぐらいの気持ちを持たなければならない。
裏返して言うと、こういうドラマは、
既得権益を持つ組織として、可視化制度に関心を持ってもらいたくない側として、
避けて通りたい作品であろう。
裁判員制度を進めるぐらいなら、可視化制度も同時に進めなければ意味がない。
誰が考えても、わかる道理。