海女のリャンさん

海女のリャンさん  2004年 

監督・脚本・撮影 原村政樹
編集 四宮鉄男
語り 康すおん

戦前、済州島から日本に渡り、現在は大阪で一人暮らすリャン・イーホンさんの生活を3年間にわたって記録したドキュメンタリー。
朝鮮通信使研究家、辛基秀氏が1966年から2年間かけて記録した未完成フィルムに、
現在を日本人カメラマンが、そして家族が映画を完成させた。

戦前、済州島から日本に渡り、海女として日本各地の海で働きながら7人の子供たちを育て上げてきたリャンさん。
日本の朝鮮植民地支配、済州島3・4事件、祖国の南北分断と、その子供たちも日本に3人、韓国に1人、北朝鮮に3人と離散してしまった。
過酷な歴史に翻弄されながらも家族の絆を守り抜いてきたリャンさんは、今も大阪で独り暮らしをしている。

映像資料提供は、辛基秀、NHK、金東満、耽羅研究会、総聯映画製作所と書かれている。
記録映画が多く残されている、中心的な人物でありながら完成されなかった。
豪放にふるまうしぐさ、うなだれて泣く姿に実直な印象をもつ。
7人の子供を育てたという、北朝鮮・韓国・九州・大阪とあらゆる場所で生活した。
昔の人の、ダイナミック気骨さに感動。

時代に奔走しながら、懸命に働き続けてきた生涯である。

こういうことさえ、しらなかった。
多産と<字が読めない>、自分の母親を思い出した。
生きるうえで文字を読むこと、学問など無用かもしれない。
高等教育を受けて働く場所が見つけられない、後にも先にも理解されにくい経済を、
曳き続けているのが日本。震災で自爆した日本社会。
七人子供を産んだ、少し前には当然だったこども時代。
その事実から、将来の日本は見通せると言われている。
7000万人の日本の人口、ダウンサイジング。

日本人は、この地球に大きな足跡を付けた。