原口 強

原口 強

南海地震は、歴史記録によれば繰り返し発生し、その間隔は100〜150年。
これらの地震では必ず大津波も起きている。
プレートは絶えず動き動き、周期的に大地震を起こしているので、間違いなく大阪を襲う。
大阪は瀬戸内海に面し琵琶湖を抱え、海運・水運を活用して発展してきた。
琵琶湖は巨大な水がめであると同時に洪水を防ぐダム、下流巨椋池は洪水氾濫の調整池であった。
難波岸の時代から現代まで土地改変を繰り返し、大阪は拡大してきた。
過去の高潮や台風災害を踏まえ、水門や防波堤を築いて都市を堅固に守り、24時間常時管理している。

大阪で起こる南海地震時のシナリオはこうだ。まず耐震強度のない建物はバタバタと倒れ、
超高層ビルはいつまでも大きな揺れが続く。
次に、海や川沿いの埋め立て地で大規模液状化が起こる。
地震発生後一時間程で紀伊水道から大阪湾に津波が入り、約二時間で大阪市内到達。
川や運河沿いに進み、大量の瓦礫や船を巻き込んでやってくる。

東日本大地震では、津波災害の事実を正確に後世に残すため、青森県下北半島から千葉県房総半島までの
津波水域調査を行った。日本列島は、今まさに地殻変動の活動期にあるといえそうである。
この状況は歴史が示すように、今後数十年間続く。

青森から千葉まで 現地を回って8000キロ
大阪市立大学 原口 強 先生

印刷された新聞をレジュメとして、原口先生の講演を聞く。
文献資料というのは、拾い読みで掴めるものでなく、綿密な仕事をやることで果たせると分かった。
地道な労働であり、急いでやらなくては記録にならない。

大震災からはや一年、過去として無意識に忘れようとしているのかもしれない。
このセミナーの参加者は、タイムリーな企画だが参加者が少ない。
関心が薄れたということか、大阪人は、地震津波は関係ないと信じ切っているのか?
新たなる対策を練らねばならないと、市民が声を出して自治体に働きかけなければならない。
ここ大阪では、元府知事、現大阪市長が府庁舎を移転させたではないか、
ATC咲洲庁舎がこの地震で発端になり、胡散霧消してしまったのか?

湾岸地方の人口島に津波液状化があることは、素人でもわかっているのですが、橋下さんは南海大地震の規模や発生確率を知らなくて驚いていました。
津波被害の予想図も「府民の不安を煽る」といって隠していました。

過去のことに気にしない、記録にとどめない、日本人独特の気性が連綿と続いている。