ポピュリズム

○吉田 徹「ポピュリズムを考えるー民主主義への再入門」(日本放送協会 2011年)

ポピュリズムの共通項として、次の6点を挙げています。
1、イデオロギーであると同時に政治運動の形態をとる
2、地理的・歴史的条件を超えて繰り返し生起する現象
3、人々の心理が大きな原動力
4、「独特のネガティヴィズム」(反資本主義、反エリート、反ユダヤ主義
5、「人民概念」の導出(従属的な立場に置かれた貧しい「人民」の意識を鼓舞することで起きる現象)
6、自らよりも強力なイデオロギーや政治現象に吸収されるという過渡的な性格
 (たとえば、ファシズム体制や権威主義体制といった政治体制では、その政治や指導者のポピュリズム的性  格が指摘されることはあっても、ポピュリズムそのものが政治体制として位置づけられることはない)

こうした条件によって、ポピュリズムは特定の構造的要因から生れてくるのである。
既存の政治や政党を批判するポピュリズムがどの程度成功を収めるかは、現状に対する不満がどの程度蓄積され、それに対して政治がどの程度対処できているかに左右される。

○山田二郎 「ポピュリズムへの反撃 現代民主主義復活の条件」(角川one テーマ21)

ポピュリズム衆愚政治とみなすだけでは、議会制民主主義、代表制民主主義の危機ともいえる現状をとらえきれないでしょう。
なぜなら、ポピュリズム的手法は、大衆民主主義(マスデモクラシー)の常套となっているから、ポピュリズムを否定することは民主主義を否定することになりかねないからです。

やはりポピュリズムにはポピュリズムでということが一つの戦術かもしれません。
もう一つは、中間団体の再生をということ。

組織、団体はみな昔からの遺産で食っているわけです。
政治学には、制度資本という概念があります。
長いこと定着している組織は、人間を束ねる重要な資源だということです。

だから、客観的に考えれば給与の格差というのは民と官じゃなくて、民の中にあるというべきです。
さらに、官を奴らと考えて、そこを叩く、そこの待遇を悪くさせるということが、実はブーメランのように自分たち、民にいるはずの側の人たちに跳ね返ってくるという問題があるのです。

シャンタル・ムフ「政治的なものについて」(明石書店

中島岳志「橋下主義=ハシズムを支えるもの」(週刊金曜日 12/23・1/6 合併号)

私たちは、「嗜虐的な愉楽」に加担していないか。
ハシズムを批判しながら、ハシズムを起動させていないか。
週刊金曜日」は4月15日号で「電力会社に群がる原発文化人の罪」という特集を組んだ。
そして、その中で「電力会社が利用した文化人ブラックリスト」として200人近いタレント・文化人を列挙し、電力会社から特権を得ている人間として断罪した。
この特集号は、よく売れたという。ここにどうしても「嗜虐的な愉楽」を感じてしまう。
そうして、ハシズムを批判しながら、ハシズム的なものを拡大化させている「嗜虐的な愉楽」。

○「表現者」 第41号  「大阪都」の反乱を許すな  ジョルダン

ナオミ・クラインショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く(上・下)」 岩波書店

橋下徹の言論テクニックを解剖する  中島岳志 「マガジン9条」連載より

市民社会フォーラム

岡林さんにレジメ18ページでもって、解説して頂きました。
学習会というテーマから、当日本屋で「表現者」を購入したのみ。
書物を読むまで、至りませんでした。

セミナーを開いて頂き、ありがとうございました。
橋下氏を支持している人、維新会に所属している人が、
この日私たちが会合を開いたように、橋下氏の動きや社会情勢について議論を深めているかどうか。
議論など尽くさないまま、橋下の独断で動いていると想像します。

議事録のない行政が、記録として残された経費や実績を検証することなく、即断することが彼の売りです。
会議をしない、感情で決断するところが<維新の特長>ではないでしょうか。

添付写真 会場
     大阪市の公園=閉ざされた便所
     開かれた施設=市民に応対しない施設