覚悟の決め方

覚悟の決め方  2011年6月30発行  扶桑社

僧侶が伝える15の智慧
河野太通
南 直哉
釈 徹宗
田口弘願
小池龍之介

3・11からの生き方指南   日々淡々

この世の中は我々の願望通りにはなりません。自分の思い通りにはならない。
思い通りになるのであれば、祈ることなどせず、願望通りにつくり変えてしまえばいい。
しかし、そうはいきません。だから祈るのです。

懺悔、感謝、そして報恩。
自分のことだけを考えず、人様のために生きるという大乗仏教的な思想です。
これを「自未得度千度他(じみとくどせんどた)」(自らはいまだ度せざれどもまず他を度す)という。
そこから被災地に対する奉仕活動の精神、心が生まれてくる。これを「不請の友」という。
請わざる友です(請い望まれなくても救いの手を差し伸べること。菩薩の慈悲救済をいう)。

僕は今、多くの人が感じている不安の根っこには、我々が存在している構造そのもの、築いてきた社会システムに対する抜きがたい不信があると思っています。社会と自分の関係が揺さぶられている。
震災で社会システムに対する「断絶」を見たからです。

「思い通りにしようぜ」と上がってこようとする人間と、これは危険だ、しかもエネルギーと資源の問題からやめたほうがいいと思っている人間がいる。

近代社会は人間至上主義で「思い通りになる生き方」に価値があるとみなしてきました。けれども、そこで仏教は、人間であることは価値ではない、という。

もう二度と震災前の日本には戻れません。戻ってはいけないのです。

この手の本を、取り上げた経験はなかったです。
震災から不安というか、落ち着かない状態が続いていました。
マスコミ・メディア較べて、庶民の目線に近い言葉をもらいました。
歴史観を持っているとか、日頃古文書に接しているなど身近な存在にある人たちだとわかりました。

書かれた文字の意味が、すとんとお腹に落ちてゆきます。
私の年齢のせいか、身につまされました。