飢餓の現場に本当に必要なこと

飢餓の現場に本当に必要なこと

日本国際民間協力会 NICCO 折居 徳正さんの講演をききました。

将来の日本人が、どういう姿になるのか<見えるはずのない世界に>誘われます。
NGO NICCOの歩み、アジアから中東、アフリカを中心に途上国の自立支援を行っている。
アフリカの国マラウイのプロジェクト、多様な支援を重層的に組み合わせたものです。
大まかに農業技術移転、エコサントイレ、井戸掘削、感染症対策。母子保健、植林と収入創出。
この事業は、お互い複合的に関係しあいます。
聞いただけで、期間が長くスケールの大きさを感じさせました。

医療事業としては、
マラリア医療、感染予防、蚊帳の配布(41713張)
日本人医師、看護婦の派遣、HIV母子感染防止。
住血吸虫対策、啓蒙活動。

井戸・簡易水道建設
ポンプ式井戸及び高低差を利用した簡易水道建設(38基)
住民による維持管理研修の実施。

エコサントイレ建設
トイレ建設技術移転(625基)
尿、便の液肥、堆肥利用
手洗い講習会などの衛生教育。
他の事業に関連し合っています、個別の対応にすませない支援。

この講演で活動の隅々まで、公表していいのだろうかと思われる、<秘密事項>ではないかと案じるほど詳しい内容でした。
エコサントレの構造は、江戸時代あったのではないでしょうか?
便より尿のほうが、肥料として評価が高い。
そのことを義務教育で教わらなかった、意外なことです。
化学肥料に裏打ちされた社会では、肥料として充分に活用されなかった。
大量消費時代を終えて、環境という問題に大きく舵が切られました。

マラウイで糞尿を肥料として活用することに、住民の抵抗があったようです。
東南アジア、南アジア、ヨーロッパ、アフリカは、糞尿に対する忌避文化が根付いているとお話がありました。日本人だけが、諸外国と異なる肥料観をもっているかのようです。
しかし、現実の私たちの生活は、水洗便所が普通、便利が好まれている社会です。
http://www.kyoto-nicco.org/index.html

などが教わった一部分です。

北太平洋沖大地震での亡くなった被災者(宮城県)を火葬できず、土葬されていると報じられました。
感染症、衛生上から土葬が、望ましいと解釈したのでしょう。
この知らせを聞き、<土>に対する畏敬の念にかられます。
自然の仕組みを形作るうえで、重大なものが<土>だと思います。
<土>があって、はじめて人間が誕生したのではないでしょうか?
英語では、soil=土 と言います、汚れるの語彙です。

日本の文化で<いままで>、人間は自然の一部であると考えられてきました。
自然の中にあって、(人と土)両方が構成要素だと思います。
土は大きな比重を占め、人間と比較にならない存在。
火葬や墓など所詮、経済が豊かな時の、裕福な家が行う儀式なのかもしれない。
水洗便所の歴史は、100年過ぎたあたりでしょうか?
いっとき景気が良かった時の、風習として歴史に刻まれるかもしれない。

諸外国ではまだ土葬が行われている、しかし<土>が大切にされていないのが今の世界。
自然に対する価値観が、3・11を経て<いままでの>日本から変わっていくのだろうか?

自然に立ち向かっているように見える世界。
これからの日本は、どちらに傾いてゆくのでしょうか?