死刑ー被害者遺族葛藤の日々

死刑ー被害者遺族葛藤の日々 2011・5・14

NHKのドキュメンタリー番組。
今年、最高裁で連続リンチ殺人事件の死刑が確定した。
事件から17年、息子を殺された江崎恭平さんテルミさんの葛藤の日々を追い、
被害者遺族にとっての死刑とは何かを描く。
被害者は4名、加害者は3名。
加害者の小森氏を介して、他の被害者遺族として(半田保険金殺人事件)原田正治氏が登場してくる。

ひとつの係争に、部外者が関与する。
そこに複雑な思い、被害者である江崎さん夫婦は、マスコミなど周りの反応に苦悩していた。
ドキュメンタリーの取材対象として、カメラの前に立つこともできない。
法律のことは知らない。事件は4対3、それが1タイ3になると問題が複雑になる。

この番組は90分、昔の映画なら一本、あまりにも長すぎた。
そして中身が、素人目にも練られていない。江崎恭平氏と原田正治氏の関係が覗けない。
共通するのは、被害者遺族という立場。原田氏が答える、交通事故での死亡ならこういう結論にはならなかったという。
果たしてそうだったろうか、自死にもつながるのではないか?

この90分に、焦点を明らかにできなかった番組。
いま社会で揺れている、組織の在り方の問題を感じさせる。
スポンサーという企業の制約を受けない、スポンサーのない組織であっても表現したいことができない。
90分という制限のない時間を与えられながら、たった一人の思いを伝えられない力のなさ。
インターネットで原田正治氏を検索してみると、脳こうそくで倒れたことは書かれていないが、死刑囚の家族・息子と姉、二人自殺したと書かれていた。
非難中傷するつもりはないが、母親健在で独り暮らしのご様子。
人一倍感性の鋭い方だと思う、と同時に複雑な家族だと。

長良川殺人事件と原田さんを結びつけるには、強引な取り上げ方ではないだろうか?
原田氏は、自身は死刑制度の反対をしているわけではないと語る。
番組を見ているものが、戸惑ってしまう。
独り暮らしは、一般でいわれる家族の生活を破壊しているかもしれない。

恭平さんは、犯罪被害者の遺族として、命の尊さを訴える「生命のメッセージ展」の活動に5年前から参加している。
死刑を求めることは、3人の命をくれ、と言っているのと一緒。サークルにおれがおってもいいのかな。
そうつぶやいた恭平さん。ーブログー

何かおかしい、人生の結末を問題にしているだけではないか。
死刑制度や法の限界を問題にするのではなく、こういった犯罪が生まれる社会状況、その過程を探る学問があってもいい。
その犯罪のすべてを追及する、地に足のついた学問の動きをしていないことに尽きる。
犯罪に至るまでの、事実をぜひ学びたい。
3・11後、いまだから知りたい、犯罪がある。