百人の子供たちは 列車を待っている

百人の子供たちは 列車を待っている 1989年 チリ

CIEN NINOS ESPERANDO UN TREN

監督 イグナシオ・アグエロ

列車とは、1895年パリのグラン・カフェで動き出した銀幕である。
リュミエール兄弟の「列車の到着」を、チリのサンチャゴ郊外の
貧しい子どもたちに、届ける。
素敵な教師の、ドキュメンタリー。





映画を一度も見たことがないという、少年たちのコメントの載せた
映像を私たち、観客は驚かされる。
幼い時から映画を親しんでいた、我々にとって考えられない環境。


彼らの前に、映画の世界へ母のような優しい女教師が現れてきた。
走馬灯。メリーゴーラウンド。


生活の中に、家族の写真を持っているのだろうか。
映画と巡り合えなかった、子ども達。
目を輝かせて、動くものに驚きを覚える彼。


彼らにとって映画とは何だろう。
教師は映画を体験させるだけでなく、製作に携わる企画をする。


情報を受ける側に、留まるのではなく、発信する側に立つ。
少年たちにカメラを持たせて、映像を撮らせる。
教えを受けるに終わらせず、表現する側に立って、表現できる
言葉に書き換えようとする、目論見が・・・。


一枚の絵を何枚も重ねて、ぱらぱらめくると・・。
切り絵を輪にして、つないで見てみると・・。



映画を観なれた人が、映画史を知っているとは限らない。
日常は、知識に埋もれて生活しているわけではない。
何も知っていない、これが、ごく普通の営み。


子どもたち全員が、列車に乗って歩むことができる。
そんな道は、一つではない、違った道が必ずある。


あなたも映像を作ってみませんか。