吉井英勝さんの講演

吉井英勝さん講演

福島原発事故の検証と教訓から再生可能エネルギーと普及と地域再生へ」


主催:市民社会フォーラム


福島原発事故の検証と教訓から再生可能エネルギー普及と地域再生へ」メモ
       2013年8月25日   吉井英勝

1)福島事故の現状は「収束」していない
・15万人超える避難者(除本理史先生講演)
・事故解明ができない
・汚染水の海洋流出

2)地下水問題は建設場所、工法からの検証と対策必要
・標高40mの平岡層を、何故10mに切り下げたのか
・本来原子炉建屋など重要施設の外側に地下水遮断壁設置
福島第一原発では原子炉建屋からの汚染した地下水を海洋に流出させない緊急対策
(1日で発生する処理水400tと海洋流出の300tの敷地内貯蔵)

3)福島第一原発事故の検証
・何故、インドネシアスマトラ沖地震津波の経験を活かさなかったのか
地震送電鉄塔倒壊(外部電源喪失)、津波でDGと蓄電器水没(内部電源喪失
・2005年「小泉行革」で地震対策の大型振動台売却
・2006年第1次安倍内閣答弁書で、津波や全電源喪失による炉心溶融は「起こらない」
・2010年民主党中心の連立政権も答弁で、「メルトダウン起こさない構造」と断言
東京電力は「1F敷地南側で15.6mの津波」想定しながら対策コストを削った

4)事故責任者たちを不起訴処分とした検察庁
・理由は「想定外の津波」、(想定外、次は通らず―検察幹部指摘)
・全電源喪失は午後3時42分に報告。即座に核燃料を冷却水の上に出させない取組み必要
・東電は海水注入による廃炉を恐れた(保安院も海水は廃炉と発言)
・ベントと海水注入を命令する法律権限はあったが、行使していない
・被覆管のジルコニウムと水の反応、水の放射線による分解などで水素発生・爆発
・被覆管損傷で放射性よう素や希ガスが外部へ放出
炉心溶融核分裂性物質が総て裸の状態に、これで大量の放射性物質放出
・東電の欲ボケと総理官邸の権限不行使。東電と歴代政権の「不作為の責任」は重大

5)汚染水対策もできないまま何故、原発輸出か
原発利益共同体の構造=「地域独占&総括原価」の電力、原発メーカ、ゼネコン、鉄鋼等素材供給メーカ、メガバンクからなる
原発利益共同体経営の家畜小屋の原発豚=政党・政治屋、官僚、御用学者、マスコミ、原発依存に追い込まれた地域の行政や業者
原発豚に目を奪われて、原発利益共同体という本体を忘れてはならない
原発1基5000億円のビジネスは原発利益共同体には魅力
・再稼働して輸出先の原発技術者を予め養成=原発輸出と再稼働は一体不可分
原発輸出の方向は、2006年第1次安倍内閣原子力立国計画」、民主党連立政権(菅総理答弁書」)、第2次安倍内閣と一貫している=原発利益共同体の方針
・「原発のセールスマン」「原発輸出の営業課長」になるのは原発豚としては当然のこと

6)新規制基準
福島原発事故を受けて、まともな規制組織と基準作りに期待があった(国会事故調報告)
・2007年からの「東大原子力法制研究会」(政官財約50人)が3・11後自民党などに働きかけて自公対案づくり。最終的に、自公民3党修正で「原子力規制委員会設置法」成立
・「再稼働」「原発輸出」を前提にした「原子力規制委員会設置法」の下での「規則・基準」
・自公民3党修正で成立した法律で、「原子力基本法」を改定し「安保条項」を挿入した
・「法律」「基準」の中身も「執行」も原発利益共同体vs世論・運動&科学的追及の綱引き
・新規制基準では旧原子炉立地審査指針が削除(資料)された←全原発が再稼働不可
原子力規制委員に原発利益共同体と原発豚から「再稼働を妨げるな」と凄まじい攻撃

7)原発依存からどのように抜け出すか
・キーワードは再生可能エネルギーの爆発的普及
・その仕事を、農林漁業・中小企業と結び付ける
・自分たちの地域に何が適しているかの議論=住民自治とその上に立つ地方自治
・地域の再生可能エネルギーの発展に役立つ仕組みづくり=地方自治体の貢献
再生可能エネルギーの日本の豊かな物理的限界潜在量
・世界の中で日本の有利なエネルギー:地熱、雨量、森林、海洋国、米軍基地のSC化

再生可能エネルギーの爆発的普及とそれを農林漁業・中小企業の仕事と結び付けることで、地域経済再生と持続可能な将来を切り開く



以上レジュメより


吉井氏は、京都大学工学部原子核工学科を卒業した、「原子力の専門家でもある国会議員」として、
特に、巨大地震津波による全電源喪失の可能性について、2006年に国会で第一次安倍内閣を追及するなど、
原発の抱える様々な問題点を国会で指摘してきたことで知られている。
吉井氏は、原発に用いられる機器が巨大地震に耐えられるのかを実証実験するために造られた、
世界屈指の大型振動発生装置(香川県多度津町)が、小泉政権の「行革」の名のもとで廃止が検討され、
2005年にタダ同然で処分されてしまった問題など、国会で追及した事例を複数挙げたほか、
政官財の癒着による「原発利益共同体」を厳しく批判した。(久保元)








標高40メートルを10メートルに切り下げた。
このことは、はじめて知りました、日本国民として知らされるべき情報でしょう。
原発が生まれてから、全くメディアの機能が働いていなかった、そのことを
証明するような話です。


汚染水タンク、地下水遮断壁は、震災後たびたび問題化されていました。
2年以上たっても東電の欲ボケは解消されなかった。
国と政府、メディアの一体化のなせる業。


このメディアが、とうとう支えきれなくなって隙間から、
情報が溢れてきているのでしょう。