虚業の社会

虚業の社会

新聞やメディアが、国民を不安に陥れている。
北太平洋沖大地震が起こり、福島第1原発が爆発したにもかかわらず、国民の社会に対する不信感が収まる気配が見られない。
ストレステストと呼ばれる審議会に登場する人物が、利益相反する立場にいながら、その名前を汚しても恥じない。
国会議員に続く、官僚、知識人と称する人たち。
原子力開発という、重大な過ちを犯してきたにもかかわらず、反省することなく恥の上塗りを重ねようとする。
その過ちを記録に残すメディアが、現れない社会。
その不信を助長する出来事が、日増しに強くなる。

官僚がその職責を活かして、経済情報からインサイダー取引を交わす。
500万円の資産を獲得したという。
個人の犯罪として追求されるだけでなく、官僚組織そのものが問われるべきだが、誰もそれに手を付けない。

声に出して言いたいことは、国民の範となるべき人物が現れないこと。
一国の大臣が、その名を汚す。
自分の一生が、そこにかかっているとは考えない。ただちに。
そこに哲学、思想というものがないことを、明らかにしている。

ことこれが、個人の生き方だけにあらず、組織全体に広がっている。
個人の弱さに惑わされることなく、強い意識によって力を継続しようとして、団体が結成された。
しかし、団体・組織は簡単にその自意識を無くしてしまった。
みんなの意見を聞こうとして会議が開かれるのだが、意見を述べるという行為が果たされないまま、会議は終わる。
参加者が議事進行をするのでなく、権力者によって移行する会議。
これがデモクラシー?

社会系教科の問題冊子の配布漏れで過去最大規模のトラブルとなった大学入試センター試験、の再試験が21日午前、全国で一斉に始まった。
試験を受ける者の立場にそって、試験前に事前のミーティングがなされていなかった、それを報告しないメディア。

ポプラ社は12日、フィギュアスケート浅田真央選手(21)の初エッセー集「大丈夫、きっと明日はできる」)の出版を中止すると発表した。
同社によると、宣伝用ポスターで「ママ、ほんとうにありがとう」という言葉を使ったところ、浅田選手が不快感を示したという。
著者と出版元の間をつなぐのは、単なるサラリーマンではない。
大量出版を手掛け、利益を上げようとする企業だけの運命を抱えてるのではない。
本の出版によって、人に伝えようとするあつい思いが尊重されるべきだが、そこを素通りされる。

デモクラシーという言葉が、崩壊している。
意見を述べる、総意をあげるという行為がなされない。
国民の意識低下が甚だしい。
個人の意識が低い、それを団体・組織のせいにしたり、国の政治に転嫁する。

センター試験の担当官は、1人ではない。
出版元の担当者は、1人だけではないはずである。
情報を伝えるという重大な、その職責を抱えながら継続されない彼らの意志。
その大元である企業が、大きな過ちを犯しても修正されない社会。

あなたはこの日本社会を、信じられますか?