職場労働の、劣化

職場労働の、劣化。

原発被曝労働の何が問題か
それでも原子力発電を続けるのか
原発問題連続学習会に参加してきました。
大阪弁護士会館で、さまざまな講演会が開かれています。
毎日放送 斉加 尚代さん 龍谷大学 萬井 隆令さん から原発労働のお話をして頂きました。

汚染水に入り大量被ばくが示すもの
東京電力福島第一原子力発電所3号機タービン建屋地下1階で電源ケーブル敷設中、
関電工社員2人の被ばく事故(2011.3.24)
①関電工は数次の下請けの中ではトップだが、やはり下請け
 東京電力は彼らの事故に使用者としての責任を負わずに済む
②関電工の2人は現場監督の役・・・ケーブル敷設作業は再下請・K電設の社員1人
 K電設の社員は長靴・・・汚染水には直接触れなかった
 関電工は通常の作業靴・・・足に直接被曝

原発での危険な実作業は実際には下請け従業員がやっている
  
原発と下請け
下請けは数次に及んでいる
第1次・・・原子炉、タービン、配管などのメーカー
第2次、第3次・・・点検修理をする企業や専門的技術力を持つ地元の会社
第4次以下・・・作業場の除染、専門作業の補助などをやる人夫出し会社

定期点検時には短期間に大量の労働者がいる
被曝総量の99%以上を下請けの社員が浴びている
原発ができた1970年代から被ばく状況は変わらない
以上。

2011・8・17通達
防護服を着たままの食事をメディアが流し始め、原子力安全・保安院は遅まきながら東京電力に改善を指示せざるを得なかった。
食事をすることから空中に漂っている放射能を吸い込み、内部被ばくする危険性を察知したわけである。
かつて開発途上国の生活環境を見て、衛生意識の乏しい文化を疎ましく感じたものだ。
いまここにきて、一般常識を吹き飛ばしてしまった労働環境を思い知らされる。
最たるものが、長靴の着用である。

平和をちらつかせている日本において、戦争産業の表側は見えない。
そのようなものが、いまここにある。
労働をする人が、細かく分類されてしまい、全部を統括する人材が育たない。
すべての人が第三者化してしまうのである、とどのつまり労働災害をどうすれば防げるか、考える人が生まれない。
もちろん労働監督署というあやふやなものは存在していない。
働いている人が、自らが危険を感知しなければ生きていけない、そういうものなのだ。
たぶんここには、男女共同参画という言葉はない。戦時。

ひとつの作業をするに、共同で働きながらともに力を合わせない。
こういう働き方を、かつて日本で繰り返しなされたことがあったろうか?
作業ごとに役割りが分別されておらず、働く者同士が幾通りに交差される下請けでは、まともな労働がなされるはずがない。
健全な労働が、行われていないのは立証済み。
日本政府が関わって作り上げた労働が、次から次へと災害を引き継いでいる。
労働のすべてを取り込んだ、責任者という存在がない社会である。
誰がこういう世界を作り上げたのか?

欧米では、以前ホワイトカラーとブルーカラーがまだ残っているらしい。
数多い下請けを通して、原発の賃金体系を国は設計した。
ピンハネを推奨する国など、どこに存在するだろう?
東電を国有化する以前の問題で、政府である国が清算してもらわなければやりようがない。
それまで、廃炉計画で全国民に労働を強い、都会に被曝者を満たし日本の総人口を減らすしかない。