汚名

汚名             

今日になる深夜1時、「汚名」というドキュメンタリーが放映されました。
発生当時、出来事は新聞で読んだこともあり、見過ごしていた話でした。
今回は二回観ることになる、ドキュメンタリー受賞作品である。

看護師が爪をはいだと同僚看護婦が内部告発、病院側は「ケア」だったという上田さんの主張を受け入れず、
会見に踏み切る。逮捕から3年2か月、福岡高裁は無罪を言い渡した。

受賞された映像と放映された内容が、異なっているような気がする。
記憶にある情報と、今回放映された内容を確認することができなかった。
批判するつもりはないが、インタビューに答える上田さんはほとんど涙を流す映像。
人と接すると感情が全面に出てくる、激情タイプに見える。

この事件は、「爪を剥ぐ」というセンセーショナルな新聞報道の姿勢が問題を大きくした。
看護師爪切り事件と題の説明が、加えられている。
場所は北九州市、市運営の施設、そして今どきの社会が原因にあること。
院長と看護部長は、上田さんの行為を「ケア」だと思っていたが、病院側の会見並びに新聞の論調は「爪剥ぎ」
という「色合い」を深めていった。
社会的風潮と働く環境が悪くなり、望ましい医療から遠ざかっている現状をまじかにみえる。

上田さんは、たしか20年の看護師経験がある、そしてこの事件の前、課長に昇進したと聞いた。
そして上田さんを内部告発したのは、以前の同僚3名であること。
爪を剥がされたと訴えられたのは3患者、その患者二人の「爪を撮った足の写真」2枚を見た覚えがある。
写真を見れば年老いた人の爪のケアが、どういう状態なのか、すぐ理解できる。
私が見た足の写真が、被害を受けたとされる当事者の足なのかわからない。
しかし、訴えられた時点で病院側が「写真を撮る」ことも可能であった。「状況写真」。

こういった事件が生まれる背景には、病院側施設における人員の配置状況や、新聞記事や報道記者のありかた、働く者が精神的な面で
ひ弱な社会を反映しているかのようだ。
このドキュメンタリーでは、最初上田さんを支えるのは組織や団体ではなく、家族だったという。
同僚からの妬みというよりも、採用人員や日本の人口自体大きく変動していることに原因。
組織が、この時代に合わないほど変化を遂げていること、それを市や司法の場も理解できていない。

ごく簡単にいうと、20年間課長にならなかった看護師が昇進したものを、組織や同僚がそのバックアップをしなかった。
その20年間で看護師が、激減したに違いない。医師も同じだろう。
妬みを持つ看護師を育てたまま、足のケアがどういうものか、何もわからない(考えようともしない)同僚・看護婦に教えることもない<課長>。
学びのない職場を放置したまま、組織を運営することに問題があった。

今年には多くの検察の強引な調書をねつ造する、それを公表しないという現実を知らされた。
検察が作る冤罪事件、この腐敗した検察をはびこらせながら国の税金を補償金という形で垂れ流している。
このドキュメンタリーは、今だからこそ語れる、これから生まれるであろう国の不幸が描かれている。
そしてTPP。