原発事故時の避難計画に関する、回答書

原発事故時の避難計画に関する、回答書











 

 避難計画を案ずる関西市民有志

 脱原発はりまアクションの会

                  様




 「原発事故時の避難計画に関する質問・要望書」に対して、下記の通り
  
  回答いたします。


 平成26年5月27日

                 加東市長  安田 正義



               記

 【質問事項】

 1、避難元の若狭町との連絡・相談について

  5月20日の訪問は、表敬訪問であり、相互の市勢及び地勢の確認を行った
  程度です。避難先となっている施設、受け入れ予定人員等を確認しまし
  た。先方は単独で、避難場所となる施設を視察されています。


 2、加東市が被ばく・被災した場合について

  (1)加東市が被ばく・被災した場合の受入れは、当市の市民を屋内避
    難させる必要があるなど、現実的に避難受入できる態勢を確保する
    ことが困難な状況が想定されます。

  (2)今回の訪問は、5分程度であったため、踏み込んだ議論はしていま
    せん。
  (3)安定ヨウ素剤であるヨウ化カリウムは、特に服用の必要な乳幼児
    に対してミルク等に混入することが想定されるため、粉末状のもの
    も用意する必要がありますが、粉末のヨウ化カリウムは、劇薬指定
    されていることから、国等から専門的な服用、保管、管理について
    の運用指針等が示されるまで購入を見送っています。
  (4)特に若年層の避難については、市内の学校単位で、災害時の応援
    協定に基づくバスの確保により、中国自動車道から岡山県方面への
    避難を想定していますが、登校時間以外の対応や、未就学児の対応
    など避難行動を策定すること自体が大きな課題であり、兵庫県が示
    す指針等によって検討します。

 3、要支援者の受入れについて

  (1)兵庫県の要請により、受入対象の団体及び小学校区、人数が示さ
    れた段階であり、避難対象者の中の要支援者数については把握して
    いません。
  (2)医療機器が必要となる要支援者は、市民病院等医療施設へ、介護
    及び障害者の要支援者は、協定締結している民間の福祉施設への入
    所を検討していますが、対象人数が多い場合は、市内での受入がで
    きないことも想定されます。

 4、避難中継所(30km県外)等について

  (1)関西広域連合から示された「原子力災害に係る広域避難ガイドラ
    イン」では、避難中継所から避難先市町村間のバスについては、避
    難元府県ないしは避難先府県が確保することとなっており、具体の
    避難中継所の場所は示されていません。
  (2)前項の通り、バスの手配については避難元府県ないしは避難先府 
    県が確保することとなっており、バス会社との調整はしていません。
    避難経路は、舞鶴若狭自動車道を経由して中国自動車道社・滝野イ
    ンターチェンジから加東市内の避難道路に向かうことを想定してい
    ますが、スクリーニングする避難中継所の場所が示されていないの
    で、確定していません。
  (3)市内3か所の車両一時保管場所を決定しています。

 5、汚染検査(スクリーニング)と除染の省略等について

  (1)ガイドラインに示されている運用基準では十分ではない印象が否
    めず、避難車両等の受入に伴い汚染が拡大することを懸念していま
    す。

 6、汚染検査の基準について

  (1)ガイドラインの基準は十分ではないと考えます。

 7、スクリーニング資材について

  (1)避難の受入については、協力は惜しみませんが、スクリーニング
    資材等の購入や保管、運用等までは想定していません。専門的な知
    識や技術が必要なため、費用負担を含め、関係機関と調整が必要で
    あると考えています。
  (2)規制庁の文書は入手していません。

 8、安全な水の確保・配布方法について

  (1)短期的には、備蓄飲料水や、上水道タンク内の貯水で対応します
    が、水源の汚染に対しての対応は決まっていません。

 9、兵庫県のシミュレーション等について

  (1)昨年は、地図上にメッシュ単位に被ばく線量予測が示されました 
    が、本年度は、自治体単位での被ばく線量予測数値が示されました。
  (2)兵庫県に確認しましたが、正確な回答を得ていません。
  (3)通常であれば高速道路を利用して3時間弱ですが、原子力災害に
    よる交通の混乱や汚染検査に要する時間等が見込めないため、現時
    点での推計はできません。

 10、複合災害について

  (1)福島での原子力災害の例からも、複合災害を考慮するべきと考え
    ます。




  
 要望に対する回答

  チェルノブイリ原発福島原発で起きたような原子力事故が発生すると、
 広範囲に甚大な放射能災害をもたらし、長期間にわたって放射能の脅威に
 さらされます。
  また、現在の放射能災害発生のシミュレーションは十分でなく、対策を
 講じることも容易ではありません。
  市民の安全・安心を確保するために、また、自然エネルギーを中心とし
 た「持続可能で平和な社会」を実現するためにも、国や電力会社にエネル
 ギー政策の転換を強く訴えていきます。